VirtualBoxを使ったLinux環境の準備

Oracle VM VirtualBox 6.1LPIC

LPICの試験勉強には自由に使えるLinux環境が必要です。
ここではVirtualBoxという無料の仮想化ソフトを使って、Windows(またはMac)の上に仮想的にLinuxの環境を作る方法を紹介します。

VirtualBoxのダウンロード

こちらのリンク先にある VirtualBox platform packages のリンクをクリックしてダウンロードしてください。
Downloads – Oracle VM VirtualBox
Windows版もMac版もあります。

CentOSのダウンロード

VirtualBoxのインストールの前に、先にCentOSのダウンロードもしておきます。
Download CentOS
こちらのページにある「CentOS Linux DVD ISO」のボタンをクリックすると、ダウンロードできるリンク先(大学や研究所など)の一覧が表示されるので、どれでも良いのでクリックしてダウンロードしてください。

CPU仮想化支援(Intel VTまたはAMD-V)の確認

タスクバーの何もないところを右クリックするかCtrl+ALT+DELを同時押ししてタスクマネージャを起動してください。
タスクマネージャ上部にあるタブの「パフォーマンス」をクリックします。

タスクマネージャで仮想化が有効になっていることを確認

右下の方にある「仮想化」の項目が有効になっていれば、CPU仮想化支援がオンになっているのでそのままで大丈夫です。
無効になっている場合はPCのBIOS設定から有効にします。

※使っているPCによってはできない場合もありますが、無効のままでもVirtualBoxは使えますので、このままVirtualBoxのインストールに進んでもかまいません。

CPU仮想化支援技術の有効化

仮想化が有効になっていない場合は、以下の手順でPCのBIOS設定画面に進み、有効化することができます。

  1. 左下のスタートメニューのアイコンを「右」クリック → 「設定」
  2. 「更新とセキュリティ」をクリック
  3. 左側のメニューにある「回復」をクリック
  4. 「PCの起動をカスタマイズする」の「今すぐ再起動」をクリック
  5. 再起動の時にWindows回復環境のメニューが表示されるので「トラブルシューティング」を選択
  6. 「詳細オプション」を選択
  7. 「UEFIファームウェアの設定」を選択して「再起動」ボタンをクリック

ここから先はPCのハードウェアによってメニューの項目などが違いますが、Intel VTまたはAMD-Vの項目を探して、もし Disabled になっていたら Enabled に変更し、Save&Exitして再起動すれば完了です。

※使っているPCによってはできない場合もありますが、無効のままでもVirtualBoxは使えますので、このままVirtualBoxのインストールに進んでもかまいません。

VirtualBoxのインストール

VirtualBoxのダウンロードが完了したらダブルクリックで起動してインストールします。

インストール時にカスタム設定など色々と確認が表示されますが、基本的に全て「Next」で先に進んで大丈夫です。

途中で「Oracle VM VirtualBox Extention Pack」もインストールするか聞かれますが、こちらもインストールしてください。

仮想マシン(ゲストマシン)の作成

次にVirtualBoxマネージャ上で仮想PCを作ります。
まずは、インストールしたOracle VM VitrualBoxを起動します。

※もしメニュー等が英語になっている場合は日本語に設定します。
File → Preferences → Language → 日本語 → OK で日本語環境に変わります。

1. 上部にあるメニューの「新規」をクリックします。

  • 名前「CentOS-1」等 ※何でも良い
  • タイプ「Linux」
  • バージョン「Red Hat (64-bit)」

2. メモリーサイズの設定

4096MB にします。

3. ハードディスクの設定

「仮想ハードディスクを作成する」にチェックを入れます。

4. ハードディスクのファイルタイプ

VDI (VirtualBox Disk Image) にチェックを入れます。

5. 物理ハードディスクにあるストレージ

「可変サイズ」にチェックを入れます。

6. ファイルの場所とサイズ

30.00 GB にします。
スライダーでは数値を細かく調整できないので手入力で入れた方が良いです。

これで「作成」ボタンをクリックするとVirtualBoxマネージャの左側にあるリストに新しい仮想マシン「CentOS-1」が作成されます。

※仮想マシンのことを「ゲストマシン」、そこにインストールするOSのことを「ゲストOS」とも呼びます。実在のPCは「ホストマシン」「ホストOS」と呼びます。

仮想マシンにCentOS 8.1をインストールする準備

VirtualBoxマネージャ左側の仮想マシンリストで、先程作った「CentOS-1」が選択状態(青色)になっていることを確認します。なっていない場合は「CentOS-1」をクリックして選択状態にしてください。

上部の「設定」アイコンをクリックします。

「システム」の設定(設定画面の左側)

マザーボード(タブ):起動順序で「HDD」を一番上にしておきます。
プロセッサ(タブ):プロセッサ数を「2」にします。

「ネットワーク」の設定(設定画面の左側)

アダプター1(タブ):ネットワークアダプタを有効化にチェック。
 割り当て「NAT」を選択。

「ストレージ」の設定(設定画面の左側)

  1. 「コントローラー: IDE」 の下にあるディスクアイコン「空」を選択。
  2. 「光学ドライブ」の右にあるディスクアイコンをクリック。
  3. 「Choose a disk file…」を選び、ダウンロードしておいたCentOSのイメージファイル(CentOS-8.1.xxxx-x86_64-dvd1.iso) を選択してOKをクリック。
CentOS8.1インストールCDの挿入

これで仮想マシンの光学ドライブに、OSインストールDVDが入っている状態になりました。

仮想マシンへのCentOS 8.1のインストールと設定

左側の仮想マシンリストで「CentOS-1」が青く選択されている状態で、上にある「起動」ボタンをクリックします。

Oracle VM VirtualBoxマネージャの仮想OS起動ボタン

「起動ハードディスクを選択」というダイアログが出るので、さきほど仮想マシンの光学ドライブに入れたCentOSのイメージファイル「CentOS-8.1.xxxx-x86_64-dvd1.iso」を選択して「起動」ボタンをクリックします。

すぐにテキストのメニューが表示されるので、矢印キー「↑」を使って、「Install CentOS Linux 8」が白く選択されている状態にして Enterキーを押します。

※マウスカーソルが動かなくなった場合は「右Ctrl」キーを押してください

※画面上部に「キーボードの自動キャプチャー機能が有効です…」といったメッセージが表示されますが、右端にあるフキダシのアイコンをクリックすると消えます

インストールCDからの起動が始まり、しばらく待つとGUIデスクトップの画面が表示され、OSの初期設定をする画面が表示されます。

まず最初に使う言語を聞かれるので、左のリストを矢印キーかマウスで移動させて「日本語」を選択して「続行」をクリックします。

CentOSの言語選択

CentOS 8.1 インストール時の設定

次にインストール概要として、さまざまな設定項目が表示されますので、以下のように設定します。

  • キーボード:日本語
  • 言語サポート:日本語
  • 時刻と日付:アジア/東京タイムゾーン ※地図上の日本をクリックして左上の「完了」
  • インストールソース:ローカルメディア

ソフトウェアの選択

  • ベース環境(左側リスト):サーバー (GUI使用)
  • 選択した環境のその他のソフトウェア(右側リスト):
    • Windowsファイルサーバ
    • ファイルとストレージサーバ
    • FTPサーバ
    • メールサーバ
    • ネットワークサーバ
    • ベーシックWebサーバ
    • 開発ツール
    • システムツール

8個のチェックを入れたら左上の「完了」をクリック

システム

ストレージの設定の「カスタム」にチェックを入れて「完了」

手動パーテーション設定
新しいマウントポイントに次のパーティション設定スキームを使用する:
「標準パーティション」に変更

この画面で3個のパーティションを作ります。

「+」をクリック
マウントポイント:「/boot」と入力
要求される容量:「2GiB」と入力
マウントポイントの追加をクリック
右側の項目「ファイルシステム」を「xfs」に変更

「+」をクリック
マウントポイント:「/」と入力 ※スラッシュ記号のみ入力
要求される容量:「20GiB」と入力
マウントポイントの追加をクリック
右側の項目「ファイルシステム」を「xfs」に変更

「+」をクリック
マウントポイント:「swap」をセレクターから選択
要求される容量:「4GiB」と入力 ※メモリーと同容量
マウントポイントの追加をクリック

「使用できる領域」が「4 GiB」になっていることを確認して「完了」をクリック。
パーティションの確認画面が表示されるので「変更を許可する」をクリック。

ネットワークとホスト名

左側のリストから「Ethernet (enp0s3)」を選択
右上にあるスライダーボタンをクリックしてオンにする ※半分ほど画面外に見切れているかもしれません

オンにすると「接続済み」となり、IPなどネットワークの状態が表示されます。
DNSが実際(リアル)のルーターのIPアドレスになっています。
※DNSが空欄の場合は後から /etc/resolv.conf を編集する必要があります

右下の「設定」ボタンをクリック
IPv4設定(タブ):「この接続が完了するにはIPv4アドレスが必要になります」にチェック
全般設定(タブ):「優先的に自動接続する」にチェック
「全ユーザがこのNWに接続可能とする」にチェック
右下の「保存」をクリック。
左上の「完了」をクリック。

これでCentOSの初期設定は完了です。
右下の「インストールの開始」をクリックします。

この後、インストールCDイメージから、仮想マシンの仮想ハードディスクにインストールが行われます。インストールには10~20分程度かかります。
この間に、初期ユーザー設定ができるので、やっておきます。

初期ユーザー設定

インストール中に初期ユーザー設定を行います。

rootパスワード

自分ひとりしか使わない仮想OSなので簡単なものでかまいません。
「aaa」等にして「完了」を2回押します。

userの作成

フルネーム「user1」
ユーザー名「user1」
「このユーザーを管理者にする」はチェックしない
パスワード「aaa」

インストールが完了したら右下の青いボタンが押せるようになるので、クリックすると仮想マシンが再起動します。

再起動すると、普段利用するOSと、トラブル回復用の「rescue mode」の2種類が選択できるようになっています。
何もしなければ、5秒後に普段利用するOSが自動的に起動します。

※もしここで、「Install CentOS」のようにインストール時の項目が出る場合は、仮想HDDではなく、インストールCDから起動しているので、一旦画面を閉じて(ダイアログが出たら電源を切るオプションを選択)仮想マシンの設定から、システム設定の起動順序でHDDを一番上にして起動しなおします。

CentOS初回起動時の初期セットアップ

画面中央に表示されている「License Information」をクリックして、
ライセンスの同意にチェックを入れて完了ボタンをクリックし、右下の「設定の完了」ボタンをクリックします。

画面上に「user1」が表示されるのでクリックして、パスワード「aaa」を入力します。

※もし放置して画面上に時計のスクリーンセーバーが表示されている場合は enterキーで解除できます

初回ログイン時に、ようこそ画面が表示され「日本語」にチェックが入っているはずなので「次へ」の青いボタンを押します。
次のキーボード設定も「日本語」にチェックが入っていますので「次へ」を押します。

位置情報サービスは不要なのでボタンをクリックして「オフ」にします。
オンラインアカウントの選択は不要なので「スキップ」します。

インストール完了

お疲れさまでした。これでインストールと初期設定は完了です。
CentOS Linuxを使い始めるをクリックします。

「初めて使う方へ」のヘルプが表示されます。見ても見なくてもかまいませんが一旦閉じます。
※後からでも「アクティビティ」→「ヘルプ」→「初めて使う方へ」で見ることができます

CentOS 8.1インストール後の確認

左上の「アクティビティ」から、黒い四角のアイコン「端末」を選びます。
ターミナル画面が表示されるので、「su -」コマンドで rootになります。

[user1@localhost ~ ] $ su  -

# 「su」の後、スペースを開けてハイフンも入力
# パスワードは設定した「aaa」

「whoami」コマンドで現在のユーザー名が確認できます。

[root@localhost ~ ] # whoami
root

「ip a」でIPアドレスを確認します。

[root@localhost ~ ] # ip a
enp0s3: inet 10.0.2.15/24

インターネットへの疎通確認

[root@localhost ~ ] # ping 8.8.8.8

# 8.8.8.8はGoogleのパブリックDNSサーバ
# pingを止めるには「Ctrl + c」

名前解決(DNS)の設定確認

[root@localhost ~ ] # cat /etc/resolv.conf
nameserver ***.***.***.***

# ルーターかプロバイダのDNSのIPアドレスが表示される

もし上記コマンドで何も表示されなければDNSが登録されていないので、下記の方法でDNSサーバを登録します。
※コピーペーストは後述の「Guest Additions」の設定を行うまでできないので手入力で行います

[root@localhost ~ ] # echo "nameserver 8.8.8.8" > /etc/resolv.conf
[root@localhost ~ ] systemctl restart NetworkManager

再度、名前解決ができるか確認

[root@localhost ~ ] # dig www.google.com
[root@localhost ~ ] # ping www.google.com
# pingを止めるには「Ctrl + c」

パッケージの更新

CentOSのインストール直後は各種アプリケーションやライブラリのバージョンが古いので、インターネット経由で最新版にアップデートします。

GPGキーのインポート

まだコピーペーストできませんが、大文字小文字なども間違えないように入力してください。

[root@localhost ~ ] # rpm --import http://mirror.centos.org/centos/RPM-GPG-KEY-CentOS-Official

エラーが出た場合は入力ミスの可能性があります。
上矢印キーで前回入力したコマンドがでるので、左右矢印キーでカーソルを移動させて修正してください。

リポジトリの編集

viエディタを使ってファイルを編集します。
矢印キーで「enabled=0」の0の所にカーソルを移動させて「r」「1」「zz」と入力すると修正できます。

[root@localhost ~ ] # vi /etc/yum.repos.d/CentOS-centosplus.repo

[ centosplus ]
………
enabled=1  # 19行目の 0 を 1 に変更

リポジトリリストの確認

[root@localhost ~ ] # dnf repolist 	

repo id     repo name             Status
AppStream   CentOS-8 - AppStream  5,318
BaseOS      CentOS-8 - Base       1,661
centosplus  CentOS-8 - Plus       36
extras      CentOS-8 - Extras     19

パッケージの更新

下記のコマンドでパッケージがインターネット経由で更新されます。
回線速度などにもよりますが 5~10分程度かかります。

[root@localhost ~ ] # dnf upgrade -y

必要なパッケージのインストール

カーネル関連やコンパイラなどのパッケージをインストールします。

[root@localhost ~ ] # dnf install kernel kernel-devel kernel-headers -y
[root@localhost ~ ] # dnf install gcc make perl elfutils-libelf-devel -y

ここで一旦システムをシャットダウンします。

[root@localhost ~ ] # systemctl poweroff

コピーペーストできるようにする

VirtualBoxの仮想マシンにCentOSをインストールしただけでは、ホスト側のWindows(もしくはMac)と、ゲストOSのCentOSでクリップボード経由のやり取り(コピペ)ができません。

ですので、CentOS に Guest Additions をインストールしてホストOSとゲストOS間でコピーペーストができるように設定します。

インストールCDの取り出し

VirtualBoxマネージャの画面に戻り、「CentOS-1」が青く選択されている状態で「設定」アイコンをクリックします。

「ストレージ」を選択して、「CentOS-8.1…」のディスクアイコンを選択します。

右の「光学ドライブ」の右端にあるディスクアイコンをクリックし、「仮想ドライブからディスクを除去」を選択します。

VirtualBoxのディスク除去

中央のディスクが「空」になればOKを押して閉じます。
起動アイコンをクリックして再度CentOSを起動します。

Guest Additions CDイメージの挿入

user1でログインし、アクティビティから端末を起動します。

VirtualBoxの「デバイス」メニューから「Guest Additions CDイメージの挿入…」を選択します。

数秒ほど待つと「Vbox_Gas_6.1.2 には…」といったダイアログが画面に表示されるので「実行する」ボタンをクリックし、管理者のパスワードを聞かれたらrootパスワードを入力します。

Guest Additionsの警告ダイアログ

画面上にインストール中の文字が表示された後、最後に「Press Return to close this window…」と表示されたら Enterキーを押します。

次にデバイスメニューの「クリップボードの共有」→「双方向」
「ドラッグ&ドロップ」→「双方向」と選択します。

これで設定が完了したので、再起動します。

[root@localhost ~ ] # su -
[root@localhost ~ ] # systemctl reboot

再起動後、ホストOS(WindowsまたはMac)と、ゲストOS(CentOS)間でコピーペーストができるようになっていれば完了です。さらに画面の最大化もできるようになります。

お疲れさまでした!
これでLPICの勉強をするための Linux環境が整いました。

LPIC試験勉強の教科書・参考書

LPICの試験勉強には下記の本が役立ちます。

Linux教科書 LPICレベル1 Version5.0対応Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集 Version5.0対応徹底攻略 1週間でLPICの基礎が学べる本

Linux教科書LPICレベル1(あずき本)はLinuxのシステムやコマンドを基礎からしっかりと理解できるようになります。これ一冊だけでもなんとかなりますが、初心者にはやや難しいところもあります。
LPICレベル1 スピードマスター問題集はLPICの試験直前の仕上げにやるとほぼ合格できるようになります。ただし基礎を理解せずに問題集だけをやってもあまり意味がないので、まずはあずき本のような教科書を読んで理解しておくことは必須です。
1週間でLPICの基礎が学べる本は、Linux初めてという方や、あずき本の内容が難しく感じた人向けで、LPICの勉強のとっかかりに良いと思います。

LPICは初心者の方でもちゃんと勉強すれば必ず取得できます。
これらの教科書をしっかりと読み込み、わからない箇所を調べながら勉強すれば、独学でも十分LPICレベル1に合格することが可能です。

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