標準入出力とは
Linuxではファイルからの読み込みも、キーボードからの入力も、どちらも同じ「入力」として扱います。
ファイルへの書き込みと、画面への出力(表示)も同じ「出力」です。
こういったデータの入出力のことを「ストリーム」と言います。
ストリームは、標準入力、標準出力、標準エラー出力の3種類があります。
(その1)標準入力
実行するプログラムへの入力ストリームです。
1+1=2の「1+1」の部分です。「=」がプログラムやコマンドです。
標準入力のデフォルトはキーボードです。
(その2)標準出力
プログラムを実行した結果の出力ストリームです。
1+1=2の「2」の部分です。
標準出力のデフォルトは画面(端末)です。
(その3)標準エラー出力
プログラムが異常終了した時のエラーメッセージの出力ストリームです。
1÷0=「エラー:ゼロで除算しました」のメッセージです。
標準エラー出力のデフォルトは画面(端末)です。
パイプとは
Linuxではコマンドの出力結果を、別のコマンドの入力に渡すことができます。
これをパイプと言って、記号「|」を使います。
つまりコマンド標準出力を、次のコマンド標準入力につなげます。
よく使われる例として、下記のように grep と組み合わせるやり方があります。
ps aux | grep ssh
上の例だと実行プロセスの一覧から「ssh」が含まれる行のみを表示します。
ただし、そのままだと「grep ssh」自身のプロセスも表示されるため、以下のようなやり方もよく使われます。
ps aux | grep ssh | grep -v grep
※最後の「grep -v grep」は、「-v」は指定の文字列とマッチしない行を出力するオプションなので、「grep」という文字列を含まない行が出力されます。
teeコマンドの併用
コマンド実行結果をファイルに保存しつつ、画面にも表示したい時などは、パイプだけでは実現できないので tee コマンドを使います。
tee コマンドは標準入力から受け取ったデータを標準出力に渡すと同時にファイルにも出力します。出力をT字型に分岐させるのでティーと言います。
ps aux | grep ssh | grep -v grep | tee ps.txt
上の例だと ps (実行プロセス一覧)の結果から ssh が含まれる行を抽出した結果を ps.txt というファイルに保存しつつ画面にも表示しています。
リダイレクトとは
コマンドへの入力や出力にファイルを使いたい時に便利なのがリダイレクトです。
出力結果をファイルに書き込む。
echo "abc" > test.txt
出力結果をファイルに追記する。
echo "def" >> test.txt
ファイルから入力してコマンド実行
grep "def" < test.txt
特定文字列が入力されるまで入力を続ける(ヒアドキュメント)。
cat > test2.txt <<EoF
> abc
> def
> ghi
> EoF #これでtest2.txtが生成される
上の例では cat の出力をファイルtest2.txtにして、入力をキーボード(EoFという文字列が入力されるまで続く)としています。
結果として test2.txt というファイルの内容を直接入力しています。
書式 | 説明 |
---|---|
コマンド > ファイル | コマンドの標準出力をファイルに書き込む |
コマンド >> ファイル | コマンドの標準出力をファイルに追記する |
コマンド < ファイル | ファイルの内容をコマンドの標準入力に送る |
コマンド << 終了文字 | 終了文字が入力されるまでコマンドの標準入力に送る |
コマンド 2> ファイル | コマンドの標準エラー出力をファイルに書き込む |
コマンド 2>> ファイル | コマンドの標準エラー出力をファイルに追記する |
コマンド &> ファイル | コマンドの標準出力と標準エラー出力をファイルに書き込む |
コマンド > ファイル 2>&1 | コマンドの標準出力と標準エラー出力をファイルに書き込む |
コマンド >> ファイル 2>&1 | コマンドの標準出力と標準エラー出力をファイルに追記する |
コマンド1 > tee ファイル > コマンド2 | コマンド1の標準出力をファイルに書き込みしてコマンド2の標準入力にも渡す |
コマンド > /dev/null 2>&1 | コマンド実行時に何も出力しないようにする |
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