Linuxにはテキストの抽出や加工をするコマンドが沢山あります。
それらのコマンドを組み合わせて便利にログファイルやCSVファイルなどのテキストデータを処理できます。
テキストフィルタコマンド
catコマンド
ファイルの中身を表示します。
cat [-n] ファイル名
正確にはファイルの内容を(標準出力へ)出力するコマンドなので、パイプやリダイレクトと組み合わせて使うことができます。
「-n」オプションを付けると、行頭に行番号を付けて出力します。
[user1@localhost ~]$ cat -n abc.txt
1 abc
2 def
3 ghi
nlコマンド
テキストに行番号を付けて出力します。
[user1@localhost ~]$ nl abc.txt
1 abc
2 def
3 ghi
wcコマンド
ファイルの行数や文字数をカウントして表示します。
オプションなしで実行すると、行数、単語数、文字数を表示します。
wc [オプション] ファイル名
-l | 行数を表示 |
-w | 単語数を表示 |
-c | 文字数を表示 |
下の例ではカレントディレクトリのファイル数を表示しています。
$ ls | wc -l
8
sortコマンド
行単位でファイル内容をソートします。
sort [オプション] ファイル名
-b | 行頭の空白は無視 |
-f | 大文字小文字を区別しない |
-r | 降順にソート |
-n | 数字を数値として処理 |
オプション「-n」については実際の挙動を見てみればわかりやすいと思います。
オプションなしだと「1」の次に「10」が並んでいますが、「-n」をつけることで期待通りのソート順になっています。
$ cat sort.txt #ファイル内容表示
1...aaa
2...bbb
8...ccc
9...ddd
10...eee
$ sort sort.txt #オプションなしでソート
1...aaa
10...eee
2...bbb
8...ccc
9...ddd
$ sort -n sort.txt # -nで数字を数値として扱う
1...aaa
2...bbb
8...ccc
9...ddd
10...eee #10が末尾になる
$ sort -n -r sort.txt #降順ソート
10...eee
9...ddd
8...ccc
2...bbb
1...aaa
headコマンド
ファイルの先頭(デフォルト10行)を表示します。
head [オプション] ファイル名
-n 行数 | 指定した行数を表示 |
-c バイト数 | 指定したバイト数だけ表示 |
head -n2 abc.txt #先頭2行を表示
abc
def
head -c2 abc.txt #先頭2バイトを表示
ab
tailコマンド
ファイルの末尾(デフォルト10行)を表示します。
オプションの「-f」を使うと、ファイル末尾をずっと表示し続けて、更新があるとリアルタイムに反映します。(Ctrl+c で終了)ログファイルを監視する時などに便利です。
tail [オプション] ファイル名
-n 行数 | 指定した行数を表示 |
-c バイト数 | 指定したバイト数だけ表示 |
-f | 末尾を表示し続ける |
# tail -n4 -f /var/log/messages #ログファイルの末尾4行を監視し続ける
Jun 8 12:17:59 localhost systemd[1]: Starting Fingerprint Authentication Daemon...
Jun 8 12:17:59 localhost dbus-daemon[963]: [system] Successfully activated service 'net.reactivated.Fprint'
Jun 8 12:17:59 localhost systemd[1]: Started Fingerprint Authentication Daemon.
Jun 8 12:18:00 localhost su[4283]: (to root) user1 on pts/0
^C # Ctrl+cで終了
splitコマンド
指定の行数でファイルを分割します。
行数を指定しない場合はデフォルトで1000行ごとに分割されます。
split -行数 入力ファイル名 出力ファイル名
例えば10行のテキストファイルに対して「2行」を指定して実行すると、2行ずつのファイルが5個作られます。
生成されるファイル名は、末尾に「aa」「ab」「ac」…といった文字が付きます。
ファイルサイズが大きなログファイルなどの分割に便利です。
cutコマンド
テキストファイルの各行の、指定文字数から指定文字数までを取り出します。
区切り文字を指定できるので、csvファイルや、tsv(タブ区切り)ファイルの特定の列を取り出すのに便利です。
cut [オプション] ファイル名
-c 文字数 | 取り出す文字の位置を指定 1なら1番目の文字のみ 1-3 と指定すると 1~3文字目を取り出す |
-f 列番号 | csvなどで列を取り出す 1なら1列目のみ 1-3 と指定すると 1~3列目を取り出す |
-d 区切り文字 | 列の区切り文字を指定 デフォルトはタブ csvを処理したい場合は「-d,」と指定する |
$ cat aaa.csv #サンプルファイルの中身
aaa,bbb,ccc
ddd,eee,fff
ggg,hhh,iii
$ cut -c5 aaa.csv # 5文字目を取り出す
b
e
f
$ cut -c3-5 aaa.csv # 3-5文字目を取り出す
a,b
d,e
g,h
$ cut -d, -f2 aaa.csv # 2列目を取り出す (区切り文字はカンマ)
bbb
eee
hhh
$ cut -d, -f2-3 aaa.csv # 2-3列目を取り出す
bbb,ccc
eee,fff
hhh,uuu
$ cut -d, -f1,3 aaa.csv # 1列目と3列目を取り出す
aaa,ccc
ddd,fff
ggg,iii
pasteコマンド
複数のテキストファイルの各行を横に連結して出力します。
csvやtsvファイルの生成などに便利なコマンドです。
paste [オプション] ファイル1 ファイル2 ...
-d 区切り文字 | 連結時の区切り文字を指定(デフォルトはタブ) |
# cat 1.txt #ファイルの内容表示
111
222
333
# cat a.txt #ファイルの内容表示
aaa
bbb
ccc
# cat x.txt #ファイルの内容表示
xxx
yyy
zzz
[root@localhost ~]# paste -d, 1.txt a.txt x.txt #カンマ区切りで連結
111,aaa,xxx
222,bbb,yyy
333,ccc,zzz
trコマンド
文字列1を文字列2に変換します。
または指定の文字列を削除します。
標準入力から渡されたテキストデータに対して処理します。
tr [オプション] [文字列1] [文字列2]
-d | 文字列1を削除 |
$ cat a.txt #ファイル内容表示
aaa
bbb
ccc
cat a.txt | tr "a-z" "A-Z" #小文字を大文字に変換
AAA
BBB
CCC
cat a.txt | tr -d "b" #「b」を削除
aaa
ccc
文字列の指定には文字クラスも使えます。
[:alpha:] | アルファベット |
[:lower:] | 英小文字 |
[:upper:] | 英大文字 |
[:digit:] | 数字 |
[:alnum:] | 英数字 |
[:space:] | スペース、タブ、改行 |
$ cat space.txt #ファイル内容表示
aa bb cc #タブ区切り
aa bb cc #スペース区切り
$ cat space.txt | tr -d [:space:] # spaceクラスに含まれる文字を削除
aabbccaabbcc
uniqコマンド
テキストファイルの重複行を1行にまとめて出力します。
ただしソートしておく必要があるので sortコマンドとパイプで組み合わせて使います。
uniq [オプション] 入力ファイル 出力ファイル
-d | 重複している行のみ出力 |
-u | 重複していない行のみ出力 |
$ sort abc.txt | uniq # 重複している行を1行にまとめて表示
odコマンド
ファイルの中身を8進数や16進数で表示します。
バイナリファイル(実行ファイルなどのテキストファイルではないもの)の内容も確認することもできます。
od abc.txt # 8進数で表示
0000000 061141 005143 062544 005146 064147 005151
0000014
od -tx abc.txt # 「-tx」で16進数表示
0000000 0a636261 0a666564 0a696867
0000014
od -tc abc.txt # ASCII表示
0000000 a b c \n d e f \n g h i \n
0000014
xargsコマンド
標準入力で受け取った内容を引数にしてコマンドを実行します。
xargs コマンド
$ ls
1.txt a.txt x.txt
$ paste 1.txt a.txt x.txt
111 aaa xxx
222 bbb yyy
333 ccc zzz
$ ls | xargs paste # 上と同じ
111 aaa xxx
222 bbb yyy
333 ccc zzz
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